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読書記録『空挺懐古都市』(石据カチル)

ごきげんよう。

時間だけは有り余っていた高校生の時、入り浸るように本屋に通う中でとても目を引いた作品、それが今回ご紹介する『空挺懐古都市』でした。

棚に並んだ背表紙に目が止まり、思わず手を伸ばして表紙を見ると、伝わってくる世界観と細かく描かれた美麗な少女のイラストに目を奪われました。

大判だし表紙は箔押しだし中にはカラーページあるしの豪華な一冊で、バイトもできていなかった高校生の私には少々高く感じられたのですが、迷わず購入しました。

この作品の舞台は空挺都市。

海面が上昇し、大地が小さくなり始めた世界で、人々は都市を空に浮かべます。

その空挺都市を浮かべるのは、化石燃料の蒸気による浮力。

しかしその蒸気は、人々に記憶障害を引き起こしてしまいます。

病名は、古妖精病(メランコリア)。

もっとも大切に想う人を忘れてしまう、悲しい病……。

『空挺懐古都市』は、そんな病に翻弄される人々の様々な想いが描かれた作品です。

こちらの作品は全4巻。

完結巻である第4巻が、2019年9月10日に発売されました。

既刊の発売時期は以下の通り。

1巻 2011年12月9日発売
2巻 2013年5月10日発売
3巻 2014年6月10日発売

ですから、実に5年ぶりの新刊発売だったわけです。

詳しくは知りませんが、これだけの期間が空いての発売ということは、きっと色々経緯があったのでしょう…。

作者さん、出版社さん、その他諸々関わった皆さま、読者に届けてくれてありがとうございます。

作者さんのtwitterによると、既刊は増刷の予定はなく、また各所在庫もあまりないそうなので、書店で見かけた方はすぐのご購入を…!

先にも少し触れましたが、装丁がとても凝っていて綺麗なので、ぜひ紙の本を手に取って見ていただきたい作品です。

ですが、もちろん電子版もあるので、書店等で見当たらなかった方、電子派の方はこちらを。

Kindle版

絵が本当に美しく、まるで画集を見ているかのようでした。

白黒の漫画なのですが、読み進めているといつしか色彩豊かに想えてきて、圧倒的な画力を感じます。

そんな作品の最後の最後には数ページに渡る美麗なカラーページがございまして…。

とても感動的なので、これはぜひ1巻からしっかり読み進めた末に辿り着いて欲しいです。

ぜひぜひお手に取って見てください。

それでは。

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